研究課題/領域番号 |
03402010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池沢 幹彦 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (10004334)
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研究分担者 |
伊師 君弘 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (00125494)
柴田 行男 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (70006154)
大坂 俊明 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (20152100)
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キーワード | シンクロトロン放射 / 放射光 / コヒーレント放射光 / チェレンコフ放射 / 遷移放射 / 遠赤外線 / ミリ波 / 線型加速器 |
研究概要 |
京大原子炉のライナックの電子ビームを用いて、ミリ波領域で高強度なコヒーレント放射光を観測したが、その際に、電子が金属箔を透過する時に、コヒーレントな遷移放射光が発生することが初めて見出された。そのスペクトルの強度は、通常の遷移放射の強度の計算値に比して、波長4mmで9×10^7倍増大されていた。また、コヒーレントの光の強度は、ビーム電流の二乗に比例することが確かめられた。東北大核理研ライナックを用い観測された強度は、通常の遷移放射の強度に比して、波長1mmにおいて、約1×10^6倍だり増大していた。この増大率は、1バンチ内の電子数とほぼ等しい値と見なせる。強度と発光長の関係、放射強度の角度依存性等は、理論的な計算結果と良好に一致していた。更に、阪大産研ライナックによる実験においては、強度の角度分布の観測から、ビームの直径とエミッタンスが、それぞれ20mm及び1.0×10^3mm mradと求められた。また、縦方向のバンチ内の電子の分布は、幅11mmの三角形の関数形をしているとの結果を得て、新しいバンチ形状測法の実例を示した。このように、従来は、可視光からエックス線領域の短波長領域でのみ観測されていた遷移放射に関して、コヒーレントな遷移放射を観測することにより、初めて遠赤外線領域での実験的な研究が可能になったのである。また、同じ集光系を用いる時、コヒーレントな遷移放射は、コヒーレント放射光よりも強度が大きく取り出せる。従ってコヒーレントな遷移放射は、波長の連続な長波長の強力な光源として、極めて有望なものである。 チェレンコフ放射は、媒質に栄界が存在すると、屈折率の閾値以下に於いても放射が生じる。本研究では、有限な媒質からのチェレンコフ放射を観測し、遷移放射とチェレンコフ放射の寄与を明確にを分けて考察して、形成層(formatirn zone)の長さに比して、発光長が大である必要があるという、新たな条件を明らかにした。
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