研究分担者 |
楠瀬 勤一郎 地質調査所, 環境地質部, 課長
加藤 尚之 東北大学, 理学部, 助手 (60224523)
山本 清彦 東北大学, 理学部, 助教授 (90004390)
三浦 哲 東北大学, 理学部, 助手 (70181849)
三品 正明 東北大学, 理学部, 助教授 (70004421)
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研究概要 |
東北地方では,日本海溝付近から太平洋プレートが日本列島の下に沈み込んでいるが,その運動は空間的にも時間的にも一様ではない.浅部プレート境界では高速伝播すべりが大地震として間欠的に発生し,深部境界では定常的なすべりが発生していると考えられる.この中間の深さのプレート境界では,間欠的な低速伝播の非地震性すべりが発生する可能性があり,これが浅部境界の地震破壊核形成に寄与するとともに,内陸の浅い地震活動にも大きな影響を及ぼすことが予想される.本研究はこのような問題意識のもとに,既存断層をもつ大型岩石試料を用いた固着-すべり実験を実施してすべり破壊核形成過程の解明を目指すとともに,地殻変動連続観測のデータから非地震性すべりの検出を試みる。 既存断層をもつ花崗岩試料による不安定すべり実験において,断層近傍のせん断歪変化と不安定すべりに先行して発生する弾性波を測定し,次の結果を得た.不安定すべり発生前,ときにはせん断歪記録から推定される破壊核形成過程の開始前にも,微小破壊によると考えられる高周波弾性波が観測される.これらの震源の多くは破壊核形成域に定まる.これは,巨視的には安定なすべり現象の中に微視的には不安定な現象を含むことを示す.一方,1992年7月の三陸はるか沖の地震(M6.9)の直後から発生した余効的歪変化を,宮古と江刺の伸縮計観測記録から見いだした.原因となる断層運動を推定するため,数値シミュレイションを行った.本震とほぼ同じ地震モーメントで時定数約半日の非地震性の余効的断層運動が本震とほぼ同じ領域で発生した,と結論された.
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