研究課題/領域番号 |
03402014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 寅夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027222)
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研究分担者 |
中村 佳重郎 京都大学, 防災研究所, 助手 (20135510)
平原 和朗 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40165197)
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キーワード | GPS / 水蒸気ラジオメータ / リモートセンシング / マイクロ波伝播遅延 / 相対測位精度 / ラジオソンデ / 気象観測 |
研究概要 |
宇治市と和歌山県串本町潮岬に、水蒸気ラジオメータ(WVR5およびWVR6)とGPS受信機MINI-MAC2816を設置して、大気中の水蒸気量の観測と精密GPS相対測位とを平行して実施した。両地点間を結ぶ基線は長さが162.330km、方向はほぼ南北である。GPS測位は30秒サンプリングで毎日3時間12分の観測とし、ラジオメータは天頂方向固定でサンプリング間隔は約2分30秒として連続観測を行なった。1993年1月31日から11月30日までの観測データを用い、衛星軌道は放送暦およびCODE精密暦、天頂方向の乾燥大気遅延および水蒸気遅延モデルはSaastamoinenモデル、天頂方向から斜方向への変換のためのmapping関数としてはCfa2.2およびwet Chaoを用い、地表気象値(気圧・気温・相対湿度)を一定とした場合、実際の地表観測地を使用した場合およびラジオメータの出力と地表観測値とを組み合わせて使用した場合について、それぞれ基線解析を行なってラジオメータをGPSの伝播遅延誤差補正に使用することの有効性についての祥細な研究を進めた。 まず、解の再現性が精度を表わすと仮定し、冬季、梅雨季、夏季および秋季に分けて基線解の平均値からの分散を比較した。その結果では梅雨季に約1cmの改善、夏季に約0.5cmの改善が見られるものの、冬季および秋季には全く改善がみられない。次に基線解の時間的な変動を直線的と仮定して、直線からの隔たりの大小によって誤差を評価すれば、ラジオメータによる精度の改善がみられた。以上の研究結果から、高温多湿な季節において、とくに測位観測期間の短縮と精度向上に水蒸気ラジオメータの利用が有効であることが明らかになった。
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