研究課題/領域番号 |
03402015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山形 俊男 東京大学, 理学部, 助教授 (50091400)
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研究分担者 |
升本 順夫 東京大学, 理学部, 助手 (60222436)
宮田 元靖 東京大学, 理学部, 助手 (50011648)
永田 豊 東京大学, 理学部, 教授 (80011493)
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キーワード | 冷水湧昇域 / 季節変動 / 経年変動 / 海洋大循環モデル / コスタ・リカ・ドーム / アンゴラ・ドーム / ギニア・ドーム |
研究概要 |
1.昨年度に得られた結果を踏まえ、ECMWFの風データと水平高解像度の海洋大循環モデルを用いて、太平洋・インド洋熱帯域に注目した海洋の大規模冷水域の経年変動実験を行なった。特に、東部太平洋のコスタ・リカ・ドームの経年変動について、スーパー・コンピュータ、ワーク・ステーションの画像解析装置を利用して詳しく調べた。その結果、ドーム域固有の季節変動機構に加え、熱帯太平洋全域にわたるエル・ニーニョ等の経年変動がコスタ・リカ・ドームの盛衰を支配していることがわかった。また、昨年度に行なった同海域の観測結果の初期解析を行ない、モデルで得られた知見が現実と矛盾していないことを確認した。さらに、既存のGEOSAT衛星水位データを解析し、海洋大循環モデルによる経年変動実験の結果と合わせ用いて、コスタ・リカ沖において総観的に個々の渦現象を捕えることに成功した。 2.昨年度までのモデルを基に大西洋モデルを構築し、東部熱帯大西洋の冷水湧昇域であるギニア・ドーム、アンゴラ・ドームの季節変動機構を世界に先駆けて詳しく調べた。その結果、季節的なITCZの北上に伴って強化される局所的な風応力のカールが励起する湧昇のため、ギニア・ドームは6月から10月にかけて発達することが明かとなった。一方、アンゴラ・ドーム域での熱収支は、風の季節変動が弱いため、ほぼ定常的なSECCによる熱の発散と季節的な海表面からの熱流束とのかねあいによって変動している。また、ギニアおよびアンゴラの沿岸域では、年2回赤道域から進入してくる暖かい沿岸ケルビン波により、それぞれの海域の季節が形作られていることが明かとなった。これらの成果は、現在J.Phys.Oceanogr.に投稿中である。 3.昨年度に引き続き、海面水位を解像するシグマ座標系海洋大循環モデルの準備、開発を進めた。同座標系を用いた熱帯太平洋域モデルを構築し、試験的に駆動することに成功した。
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