研究概要 |
STMによる選択化学気相成長/エッチング装置を開発した。すなわち、基板交換・導入チャンバ-,基板処理・プロセスチャンバ-,STMチャンバ-から構成される選択化学気相成長/エッチング装置を立ち上げ、種々の雰囲気ガス下におけるグラファイト表面へのアモルファスカ-ボンの堆積とグラファイト表面のエッチングを、STMチップ先端から放射される電子線と気相ガス分子との解離反応を利用して、ナノメ-トルサイズで行った。エッチング及び堆積機構について検討を行い、エッチングはO_2存在下での電子線誘起酸化反応によるもの、堆積はCnHm存在下での電子線誘起解離反応によるものであることを提案した。さらに、HF処理表面が清浄表面と形成することに着目し、フォトルミネッセンス法により、種々のHF処理表面の雰囲気ガスに対する耐化学特性を評価するとともに、STMによりHF処理Si表面の原子配列/結合構造を明かにした。その結果、SiーH,SiーH_2,SiーH_3ボ-ドの存在、(112)ステップ端面がSiーH_2,SiーHで形成されていることなどの新しい知見を得た。次いで,このHF処理Si表面に室温でトリエチルガリウム分子(TEGーGa(C_2H_5)_3)を吸着させ、STMチップと基板(Si)間に存在する高電界(〜10^7V/an以上)によりTEG分子の解離が生ずることを利用してナノメ-トルオ-ダのGaのデポジションに成功した。STMに印加するバイアス電圧依存性、パルス巾依存性、トンネルギャップ間隔依存性を測定し,Gaデポジションのための臨界電界の存在することを明らかにした。現在、AlCl_3ガスによるAlのナノメ-トルオ-ダ堆積,WF_6ガスによる選択エッチングを行っている。
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