研究概要 |
本年度は,高温固気二相流の伝熱機構を明らかにするために,流動層熱交換器を対象に,1)流動層内のふく射伝播機構,および,2)伝熱促進に対する空隙率分布の影響の2点について検討を行なった。 1)流動層におけるふく射伝播機構を明らかにするために,光学的手法により層内のふく射伝播を測定した。伝熱面から射出されるふく射を模擬したHeーNeレ-ザ-(科研費により購入)を流動層内に入射させ,伝播するレ-ザ-光の強度を,層内に挿入した光学プロ-ブにより測定した。流動粒子としては,透明なガラスおよびアルミナ粒子,吸収性の強い酸化鉄粒子,そして,二つの中間に当たる酸化ジルコン粒子を用いた。その結果,流動層内のふく射伝播機構について以下の知見を得た。 1.比較的重い粒子を用いた流動層内のふく射伝播機構は,気泡相滞留時と粒子相滞留時の二つに分けて考えることができる。気泡相ではふく射は全く減衰を受けずに伝播するが,粒子相では充填層と同程度の極めて強い減衰を受ける。 2.粒子相において入射ふく射はきわめて強い減衰を受けるため,散乱を繰り返したふく射だけが層内深くまで浸透する。したがって,粉子の吸収性が強いと,ふく射は散乱を繰り返す間に吸収され,層内にはほとんど浸透しない。 2)流動層内の空隙率分布が知るために,後方から照明される流動層について透過光強度の測定を行なった。得られた透過光強度から伝熱面近傍の空隙率分布を換算し,伝熱実験で求めた熱伝達率と比較,検討を行なった。その結果,特定の空隙率で伝熱が促進されることがわかった。
|