研究課題/領域番号 |
03402041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西野 文雄 東京大学, 工学部, 教授 (90010777)
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研究分担者 |
岩熊 哲夫 東北大学, 工学部, 助教授 (60120812)
山口 栄輝 東京大学, 工学部, 講師 (90200609)
堀井 秀之 東京大学, 工学部, 助教授 (10181520)
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キーワード | 骨組鋼構造物 / 設計 / 耐荷力 / 有効座屈長 / 固有値解析 / 幾何学的非線形 / 初期不整 |
研究概要 |
本年度は面内問題を対象に、2つの設計方針を検討した。 1)接線剛性行列の固有値解折を行って、骨組を構成する部材の各断面で面内崩壊に対する有効座屈長を決める方法を提案した。固有値解析を用いて有効座屈長を決めるとき、小さな値の圧縮応力の働く断面が存在すると、その断面に対する有効座屈長が長くなり、骨組の耐荷力が過小評価される場合が起こる。必要に応じて断面の圧縮応力に拡大系数の概念を導入すれば、この過小評価される問題を解決できることを明らかにした。 2)非線形構造解析を前提とした設計法を提案した。しかし、設計業務で、すベての非線形要因を取り入れた解析を行うのは現実的でない。このため、ここでは解析自体には幾何学的非線形性のみを取り入れ、材料非線形性、製作誤差、残留応力等はすべて初期不整(これを"等価初期不整"と称する)で考慮することとした。また、部材応力が降伏点に達したときの荷重をもって構造物の耐荷力とした。本手法では、等価初期不整がその精度を大きく左右することになる。そこで、境界条件の異なる6本の柱部材を用いてこの点を子細に検討した。その結果、接線剛性行列の固有ベクトルを初期不整のモ-ドとし、最大たわみを部材長の0.33%とすれば、実用上十分な精度で耐荷力が得られることを明らかにした。さらに、本手法の妥当性、有効性を検証するため、現状では必ずしも取り扱いが明確でない変断面柱部材、さらには、梁一柱部材やラ-メンの解析を行った。結果は、いずれの場合にも高々10%程度の誤差が見られるのみであった。計算量および精度の点から見て、本手法は十分実用的であり、またこれにより合理的な設計法の構築が可能であると考えられる。
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