研究概要 |
Cuー9at.%A1三重結晶試験片を用いて,試験温度823K,初期付加応力35MPaの条件でクリ-プ試験を行った。試験片が破断に至るまでの過程において,すべり線,粒界すべり,三重線近傍の不均一変形(=fold),粒界き裂,および粒界破面などを観察し解析を行った結果,特に三重線foldについて,以下に示すような検論が得られた。 1)三重線fold形成面の優先性は,すべり帯型fold,変形帯型foldによらず,応力伝達系数の大きさによって評価することができる。結晶内の全てのすべり系のうち,原則として最も大きい値を持つすべり面がfold形成に関与する。 2)三重線foldが形成される場合,それがすべり帯型foldになるか,変形帯型foldになるかは,粒界面とすべり面との角度関係に依存する。粒界面とすべり面とのなす角が0°に近い場合はすべり帯型foldに,90°に近い場合は変形帯型foldになる。 3)三重線foldのコントラストは応力伝達係数の値に依存し,その広がる範囲は粒界すべりの大きさに依存する。応力伝達係数の値が大きいほどfoldのコントラストはよりはっきりとし,また粒界すべりが大きいほどfoldの広がる範囲は大きくなる。 4)三重線foldの広がる大きさの,粒界すべり量に対する依存性は,すべり帯型foldの方が大きい。粒界すべり量が小さくなるような引張軸方位の場合,すべり帯型foldは極めて小さくまた,ほとんど成長しない。
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