研究概要 |
GaAs(111)B面にヘテロエピタキシャル成長したCaSrF2結晶の構造について以下の知見を得た。フッ化物は膜面垂直方向に高い結晶性をもち、エピタキシャル界面のF原子面が1枚欠落している。(Ca,Sr)原子は下地GaAsの最上層As原子の上の位置(Tサイト)を占め,位置の乱れは小さい。最上層As原子はかなりの部分が欠落している。GaAs中のAs-Ga二重面はフッ化物との界面領域において外側に向かって構造緩和を起こしている。また、硫黄処理したGaAs(111)B面にCaFzをエキピタキシャル成長させ、X線回折法により構造を調べたところ、この系の膜一下地界面でもF原子面が1枚抜けていること、第1 層Ca原子がS原子の直上のTサイトに存在する可能性は低いことが分かった。平成4年度の目標の1つであった高温超伝導膜の構造については、SrTzO_3(100)面に成長させたGdBaCuO結晶について軟X線定在波による研究を行なったところ、界面第1層はCuO面かCuO_2面である可能性が高いとの情報が得られた。第2の目標であったSz表面上の吸着Asの構造については、分子線エピタキシー法でSz(111)7×7表面にAsを吸着させた試料について微小角入射X線定在波データを収集することができた。Asの蛍光プロフィルは、Sz(111)表面の高対称位置(T,T4,H3)にAs原子が非常に高い規則性をもって存在するとした計算プロフィルとかなり良く一致している。データは高真空中に置いた試料から得られており、この種のものとしては世界で初めての実験である。
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