研究課題/領域番号 |
03403004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大野 公一 東京大学, 教養学部, 教授 (60012499)
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研究分担者 |
宗像 利明 理化学研究所, 研究員 (20150873)
山門 英雄 東京大学, 教養学部, 助手 (30242035)
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キーワード | ペニング電子分光 / 光電子分光 / クラスター / イオン化 / 励起原子 |
研究概要 |
本研究の遂行には、(1)励起原子ビーム源の強力化、(2)クラスターの作成法の確立、(3)クラスター成分の同定・制御法の確立、(4)電子分光分析器の高感度化、および、(5)電気信号計測系の高効率化が要求される。本年度は、下記の課題を中心に研究を進めた。1.(励起原子ビーム源の強力化)初年度に続き、ビーム源の強力化の検討を行った。三重項ヘリウムのビーム強度として、冷却装置なしに10万ピコアンペア以上の強度を安定に取り出すことに成功した。また、後述する計測系の効率向上により、一重項ヘリウムビームによる電子分光実験が可能になった。ヘリウム以外の希ガスの励起原子による電子分光実験でも、三重項ヘリウムの場合と遜色ない信号強度が得られることがわかった。2.(クラスターの作成法の確立)十分な濃度の分子流の作成は、一般にきわめて難しい。この難点を克服する方法として、(1)レーザー脱着法、(2)蒸着薄膜法の検討を進めた。パルスYAGレーザー2倍波によるレーザー脱着法をペンニング電子分光にはじめて適用し、アントラセン分子のペニング電子スペクトルの測定に成功した。旧来の加熱蒸発法とくらべて、格段に短時間で、電子分光実験が行える見通しが得られた。3.(電気信号計測系の高効率化)高速演算処理が可能なパソコンを利用することによって、電気信号計測系の大幅な改良を行った。とくに、速度分解ペニング電子分光では、パルス信号処理の改良で数十倍の高感度化が達成された。なお、ランダムチョッパーを用いる時間相関法を採用すれば、さらに2桁の感度増が期待できる。また、速度分解と電子分光を同時に行う、2次元ペニング電子分光の可能性について検討し、次年度には具体化できる見通しが得られた。
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