研究分担者 |
佐野 弘好 九州大学, 理学部, 助手 (80136423)
村江 達士 九州大学, 理学部, 助教授 (50011747)
稲津 孝彦 九州大学, 理学部, 教授 (60037207)
青木 義和 九州大学, 理学部, 教授 (00037277)
岡田 博有 九州大学, 理学部, 教授 (60037182)
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研究概要 |
平成5年度は本研究の第3年目で,設備関連では前年度の基本部の設置に続き補充と改良が進んだ。野外調査では西南日本外帯の四万十帯を中心に各地からの試料を収集し,これを用いた各種分析や試験も順調に行えた。 本研究費で効果的に設備が整ったのは,固体堆積有機物の顕微光学的研究関連では既購入設備のカール・ツアイス社製アキシオプラン万能顕微鏡に欠けていた透過装置と写真撮影装置と,国産ではあるが,カラー・テレヴィとヴィデオ収録装置である。また,同じく有機地化学分析関連では研究分担者の村江助教授が東大から移管した熱分解ガスクロマトグラム質量分析装置で老朽化していた部分のガスクロマトグラムの付替とデータ処理装置の追加である。これら新規の補充によに,観察の再現や解析内容が著しく充実し,分析精度も高上した。 平成5年度までに充実出来た上記設備の活用で,本研究の基礎は著しく固まった。先ず,研究対象の古生物起源の堆積有機物は,古植物起源の濃集型の石炭とその関連物質,同じく分散型の石炭化植片やケロジェンの試料収集と分析が進んだ。その結果,従来の地質学的手法によに判明した堆積環境・地質時代・層序・地質構造に関する既知の諸情報に,本研究で判明した有機物の物理的・化学的変化から読み取った続成〜変成情報を加え,熱機関である地球表層部での堆積盆形成から構造発展に至る被熱履歴の解析が可能になって来た。この研究成果の一部は,日本地質学会,日本地球化学会,応用石炭組織学会,堆積学研究会などで研究分担者らとの連名の発表を含めて報告し,関連分野の研究者の理解を得て来ている。出版物では九州大学理学部研究報告に公表した。平成6年度の日本地質学会第101回学術講演会で計画されているシンポジウム「変動帯の弱変成と年代学」での招待講演では「変動帯の有機変成」の中で,本研究の現在までの成果を含めて報告する予定である。
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