研究概要 |
剛直性高分子の構造形成過程を検討するために,ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾ-ル(PBZT),ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾ-ル(PBZO)およびそれらの共重合体をとりあげ,以下に記すような成果が得られた. (1)剛直高分子〜濃硫酸,メタンスルホン酸の希薄溶液の系に関する白濁温度,溶解温度と濃度の関係を明らかにした. (2)希薄溶液からの結晶化に関しては,沈積する剛直高分子単結晶の形態と溶媒濃度,結晶化温度の関係を明らかにした.また剛直性高分子の結晶化機構が明らかにされた. (3)高分解能電子顕微鏡による,結晶格子像の分子鎖のアクシャルシフト(axial shift)の観察,また微結晶内での結晶点欠陥の直接観察にもとずき,熱処理に起因した1つの微結晶内での分子鎖のミスオリエンテ-ションの発生など剛直高分子特有の現象が見いだされた。 (4)電子顕微鏡観察で期待される高分子像のシミュレ-ションは岡山大学の大型コンピュ-タ-を用いて行われており,2,3の分子凝集状態から期待されるシミュレ-ション像の計算が行われた。 (5)剛直高分子〜メタンスルホン酸系の液晶からの紡糸装置を試作し,いくつかの適当な紡糸条件が明らかにされた. (6)剛直な骨格構造からなる共重合体の結晶化,結晶構造を検討するために,組成比の異なる種々の共重合体を合成し,重合度などのキャラクタリゼ-ションの一部を行った.
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