研究概要 |
最初の2年間で、研究分担者を含めた4人が以下の4つのテーマについて連携を保ちつつ研究を進めた。材料としては、おもに我々が開発した方法によりラット肝臓から分離精製したAJを用いた。【単離AJの構造を急速凍結ディープエッチングレプリカ法で解析した(月田承一郎)】単離AJは、エッチングレプリカ法で観察するのにきわめて適していた。この解析により、AJの裏打ち構造が初めて高分解能で3次元的に解析できた。 【単離AJの裏打ち蛋白質の特異抗体を作製し、免疫電顕法で解析した(米村重信)】我々はこれまでにradixin(82kD),tenuin(400kD),70kD protein,240kD proteinなどAJに局在する多くの新しい裏打ち蛋白質を同定してきた。AJの裏打ち蛋白質すべてに対する特異抗体を作製する作業を続けると同時に、得られた抗体の分布を凍結超薄切片を用いた免疫電顕法(徳安法)を用いて解析し、多くの新しい所見を得た。 【単離AJの各構成蛋白質のcDNAをクローニングし、その機能を調べた(永渕昭良)】radixinをはじめ多くの新しく同定されたAJの裏打ち蛋白質に対する抗体を用いて、それぞれの蛋白質のcDNAを得た。そしてその発現実験を通じて、それぞれの蛋白質の機能を直接的に解析した。 【単離AJから情報伝達を司る蛋白質を同定し、その機能を解析した(月田早智子)】情報伝達のシグナリングのうち、チロシン燐酸化に着目し、まず単離AJに濃縮するチロシンキナーゼを同定し、これらのチロシンキナーゼにより、特異的に燐酸化されるターゲット蛋白質を単離AJから同定することを試みた。
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