研究課題/領域番号 |
03404019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 實 東京大学, 医学部(医), 教授 (50009990)
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研究分担者 |
大室 弘美 東京大学, 医学部(医), 助手 (00124470)
飯野 正光 東京大学, 医学部(医), 講師 (50133939)
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キーワード | 筋収縮 / カルシウムイオン / ライアノジン受容体 / 化学架橋 |
研究概要 |
骨格筋興奮収縮連関において最も重要なステップであるが、いまだ明らかにされていないT管ー小胞体連関機構の解明を本研究は目標としている。初年度は、この機構の入力端と出力端に対応するDHP受容体(ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬結合蛋白)とライアノジン受容体(ライアノジン結合蛋白質)が相互に接触して相互作用しているのか、あるいは、両者の間に第三、第四の蛋白が介在するのかを、生きた骨格筋細胞に対して蛋白間架橋試薬を用いてまず明らかにする予定でいる。まだ目標は完全には達成されていないが、以下のように目的達成のための準備が進んでいる。 まずDHP受容体とライアノジン受容体の一次構造が明らかにされているウサギを用い、これらの蛋白を同定するための抗体の準備を行った。抗ライアノジン受容体抗体については、部分アミノ酸配列に対応する合成ペプチドを用いて7種作製した。さらに反応部分を変えた抗体を2種作成中である。抗DHP受容体抗体も作製中である。 蛋白間架橋解析の予備実験として、筋小胞体膜標品あるいは単離抽出したライアノジン受容体蛋白について種々の架橋試薬を用いて、架橋条件の検討を行なっている。現在までのところ架橋試薬を選べば種々の大きさの架橋産物が生成されることが明らかになった。また、ライアノジン受容体の解析の一手段として、蛋白質を変性させることなく生体内と同じ状態で泳動するnative電気泳動法を開発中である。 さらに、微小なスキンドファイバ-標本から得られた全蛋白の電気泳動後、抗ライアノジン受容体抗体を用いたイムノブロット法によりライアノジン受容体を同定する方法を確立した。この方法を用いてスキンドファイバ-中のライアノジン受容体=Ca^<2+>放出チャンネルをカルパインによって限定分解した産物の同定に成功し、この蛋白のNH_2末端側から全長の約1/4を切断してもCa^<2+>感受性には変化がないが最大Ca^<2+>放出速度が2倍程度に亢進することが明らかになった。これはライアノジン受容体に機能的ドメインがあることを示しており、架橋実験の結果と合わせて重要な示唆を与えると期待される。
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