研究課題/領域番号 |
03404026
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
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研究分担者 |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60243961)
上川路 信博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90224659)
木村 彰方 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60161551)
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キーワード | HLA / 抗原ぺプチド / 対立遺伝子 / トランスフェクタント / トランスジェニックマウス / 免疫応答 / 遺伝的多型性 |
研究概要 |
溶連菌細胞壁抗原(SCW)特異約DQ拘束性CD4陽性T細胞のエピト-プをM蛋白C領域に同定し、またこのCD4陽性T細胞の存在下に末梢血リンパ球より誘導される自己単球あるいは自己B細胞傷害性CD8T細胞株を樹立した。このCD8T細胞株はHLA-B分子を拘束分子として自己傷害活性を示すが、その機能発現には末梢血リンパ球培養液中の可溶性因子が必須であることを明らかにした。この可溶性因子を種々の手法により精製したが、分子量1000以下であり、糖、蛋白のいずれでもないことが明らかとなり、現在その構造をNMR等の手法を用いて決定中である。一方SCW中の主要構成蛋白であるM蛋白遺伝子の塩基配列より推定されるアミノ酸配列をもとに30種の合成ペプチドを作成した。これらの合成ぺプチドとHLAクラスII分子との結分親和性を、HLAクラスII分子のみを発現するマウスL細胞トランスフェクタントを用いて解析したところ、対立遺伝子毎に個々のぺプチドとの結合親和性が大きく異なることを明らかにした。この対立遺伝子間の相違は1アミノ酸残基の変化によってももたらされることから、HLA分子の遺伝的多型性は、そこに結合し得るぺプチドのレパ-トリ-を大きく変化させることが明らかとなった。また多くのぺプチドを結合し得るにもかかわらず、それを拘束分子とする抗原特異約T細胞が誘導できない分子(DR53ならびにDQ4分子)の存在は、免疫応答性の個体差が単純な抗原ぺプチド親和性の対立遺伝子間の相違では説明できないことを強く示唆する。またDR51分子を発現するトランスジェニックマウスを用いた実験からも、HLA分子に強く結合するにもかかわらずT細胞免疫応答を惹起しないぺプチドが多数存在することが明らかとなり、上記の観察を支持した。さらに種々の自己免疫疾患と強い相関を示す対立遺伝子群を同定した。
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