研究課題/領域番号 |
03404033
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
多田 啓也 東北大学, 医学部, 名誉教授 (20046907)
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研究分担者 |
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (10205221)
大浦 敏博 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (10176828)
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キーワード | 高グリシン血症 / グリシン開裂酵素 / DNA診断 / 出生前診断 |
研究概要 |
非ケトーシス型高グリシン血症は、新生児期に激烈な中枢神経症状を呈し、数日中に死亡するか、生存し得ても重度の脳障害を残す疾患であり、体液中(血液、髄液、尿)グリシン濃度の著明な増量を示す先天代謝異常症である。本症の欠損酵素部位はグリシン開裂酵素であることは1969年我々によって始めて証明された。グリシン開裂酵素はヒトでは肝、脳、腎に限局するのでこれまで本症の確定診断には肝生檢が必要であった。しかし、該酵素の遺伝子は全ての細胞に存在する故、DNA診断が可能となれば臨床上極めて有用である。 前年度迄の研究により、本症の病因となる幾つかの変異がDNAレベルで究明された。今年度はその中で高頻度にみられるS564I変異(G-T変異の結果、P蛋白のN末端から564番目のセリンがイソロイシンに置換)を乾燥濾紙血を用いて簡便に檢出する方法を考案した。この方法は絨毛組織のDNA分析にも利用し得ることから、本変異のハイリスク家系について絨毛穿刺による出生前診断を試みた結果、診断が正確であることが確認された。
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