研究課題
一般研究(A)
本研究では、マイクロサージェリーにおける視覚、触・圧覚、聴覚情報を用いた仮想現実感の達成についてさまざまな手法の開発を行った。視覚情報は、人間が動作を行う際の最も重要な情報であり、なかでも立体視技術は、仮想現実空間を形成する上で最重要技術の一つである。そこで我々は、極細径のイメージファイバを用いた立体内視鏡システムを開発し、立体感覚技術とそのシステムのマイクロ化に伴う問題点の検討、およびそれに対する解決を試みた。手術操作は視覚情報に負う所が多く、視覚情報のみでも単純な操作ならば遂行可能である。しかし、一般的な手術操作では、触・圧覚情報が大きな要素を占め、術者はこれらの情報を統合して、スムーズな手術操作を行っている。今回のシステムでは、手術操作はマイクロサージェリー用の手術器具を用いて術者が直接操作を加えるという方法とともに、ロボットハンドからの触・圧覚を種々の方法を用いて術者にフィードバックし、これらの方法による仮想現実感・臨場感の増強効果に関して検討を行った。通常の手術時には、聴覚情報の果たす役割はさほど大きくはない。しかしながら、仮想現実空間を形成する上では、他の感覚を聴覚情報で補足することが可能である。具体的には、操作に伴う特有の擬音を発することで仮想現実感を補強することを試み、その効果について検討した。マイクロサージェリー手術用マニピュレータについては、アクチュエータの小型化が難航し、本研究では、大型のマニピュレータでの試行を行うに留まった。今後小型のアクチュエータの開発を継続し、実用可能なサイズのマイクロマニピュレータの製作に向けて、引に続き研究をすすめたい。
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