研究概要 |
1.正常ヒト肝細胞培養法の検討 人工肝臓に用いるバイオリアクタ-として、ヒト肝細胞を利用する可能性について検討した。正常ヒト肝細胞は大量入手が困難であるため、切除肝非病変部より得られる肝組織片からの細胞収量を高める必要がある。このため細胞分散法を検討した結果、手術時に於ける組織片採取までの肝阻血時間が細胞収量,生存細胞数に影響した。分離,培養された正常肝細胞機能は,バイオリアクタ-としての機能を有しており、現時点での培養条件においては10日間培養可能であった。今後、さらに細胞収量,細胞機能を高めるため分離,培養法の検討を進めて行きたい。 2.肝不全ヒト血漿中における培養肝細胞機能 人工肝システム中の培養肝細胞は、肝不全血漿中において培養され機能発現しなければならない。このため培養ブタ肝細胞を用い、肝不全血漿中で培養可能か、また機能を発現するかについて検討した。肝不全血漿中において糖合成能,尿素合成能は,3日間、DNA量は5日間、細胞形態は5日間維持されていた。肝不全血漿中のアミノ酸組成の変化では、高値であったPhe,Met,Lys,Glyは著明に低下し、モル比(BCAA/AAA)も増加傾向を示した。以上より培養ブタ肝細胞は肝不全ヒト血漿中で培養可能であり3日間は、機能を維持出来ることを示した。さらに今後の検討により、培養ヒト肝細胞をバイオリアクタ-として応用出来る可能 性が示唆された。
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