研究分担者 |
川島 康生 国立循環器病センター, 病院, 院長
鬼頭 義次 国立循環器病センター, 病院・心臓外科, 部長
増澤 徹 国立循環器病センター, 研究所・人工臓器部, 室員 (40199691)
中谷 武嗣 国立循環器病センター, 研究所・生体工学部, 室長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター, 研究所・人工臓器部, 室長 (00142183)
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研究概要 |
長期使用可能な体内埋め込み型補助人工心臓システムとして血液ポンプモニタリングシステム及び携帯型駆動装置の開発を行なった.血液ポンプは抗血栓性及び体内収納を考慮し,臨床用国循型空気圧駆動ダイアフラム型血液ポンプ(成人用)を基本に,送脱血及び駆動用ポート部をダイアフラム面と平行としポンプ厚を50mmに縮小した。ポンプ拍出量モニタリングを非侵襲的かつリアルタイムに行なうために,電気インピーダンス(Z)測定によるポンプ内血液量測定システム(Z)法を開発した。さらに,適用患者の可動性向上のために携帯用駆動装置を試作した。慢性動物実験は,正常心成山羊10頭(体重50〜70kg)を用いて行った。脱血管は左室心尖部に縫着したカフを通じて左室心尖に挿入し,送血管はその人工血管部を下行大動脈に端側吻合した。送,脱血管は腹壁下に導き,腹壁内に留置したポンプ本体と接続した。駆動ラインは皮下トンネルにより体外の駆動装置と接続した。抗凝血療法はポンプ装着時のみに行なった。本システムの装着及び駆動は容易であった。事故及び出血にて5頭を失ったが,2頭は4週,1頭は9週,2頭は14週の施行後犠死せしめた。施行期間中の補助量は3.8〜5.8L/minで安定していた。Z法はポンプ駆動状況の把握に有用であり,駆動制御も良好に行ない得た。施行期間中全身状態や血液・生化学検査において特に異常を認めなかった。また,試作携帯用駆動装置(15kg)により最大6.7L/minの流量が得られた。剖検時,血液ポンプには2頭において弁輪部に血栓を認めたのみで,血液ポンプ収納部周囲も1例を除き特に感染等の異常所見を認めなかった。体内収納型血液ポンプは,動物実験において最長14週間良好な循環維持を行ない得,Z法による非侵襲的リアルタイム血流量計測装置及び携帯型駆動装置は良好に作動し,本システムは長期にわたる左心補助に有用と考えられた.今後さらに長期の施行について検討を進める予定である.
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