研究概要 |
初年度は健常者を対象にした脳の4次元機能地図の作成を行った. パタ-ンリバ-サル視覚誘発反応においては,刺激後時間100msにピ-クを有する反応の信号源を,磁気脳波を用いて3次元的に推定することに成功し,結果をMRI画像上にス-パ-インポ-ズできた.特に1/2視野刺激に関しては,信号源を視野と反対側の後頭葉に安定して推定することが可能であった.さらに,左右の後頭葉の形態が非対象的な被験者において推定された信号源は同様に左右非対象であり,脳の機能と脳の形態との対応を考える上で興味深い知見であった.次いで1/4視野刺激に関しての反応から脳内の信号源を推定にも成功したが,興味深いことに,隣あった二つの1/4視野刺激に対する反応の総和は必ずしも該当する1/2視野刺激の反応とはならないことが示された.これに関しては,脳における視野の解釈が単により小さな視野の集合として示されるようなものではない可能性があり,あるいはまた信号源が拡張している場合の磁気信号の解釈のしかたに問題点がある可能性も示唆された.異常の視野刺激の他に,赤および緑の異なった色刺激による誘発反応も時空間的に行ったが,色による反応の違いは明白であり,さらに実験を発展させる予定である. これに対し,電気脳波を用いた視覚誘発反応も,多チャンネル脳波計を用いて測定し頭皮上の2次元マップとして表示することが可能であった.しかしながら電気脳波の場合はReference Electrodeをおく位置によって電流源推定が影響を受け,磁気脳波の様に空間位置推定を行うには問題点が多く,今後さらに解析が必要である. さらに現在,運動準備反応などの測定も開始しており,脳の4次元機能地図作成に向けてmodalityの拡張を進めている段階である.
|