研究概要 |
1.NMRによる局所脳血流量(local Cerebral Blood Flow,lCBF)の測定 まず、ウサギにてH_2^<17>O(水-17)と^<17>O NMR spectroscopyによる全脳血流量の測定に成功した。続いて、^2H_2O(重水)と^2H chemical shift imagingによるlCBFの測定を試み、これもほぼ成功した。 2.NMRによる局所脳酸素消費量(local Cerebral Metabolic Rate of Oxygen,lCMRO_2)の測定 まず、ウサギにて^<17>O_2(酸素-17)ガスと^<17>O NMR spectroscopyによる全脳酸素消費量の測定に成功した。続いて、酸素-17 ガスと^<17>0 chemical shift imagingによるlCMRO_2の測定を試み、これもほぼ成功した。 3.NMRによる局所脳グルコース代謝率(local Cerebral Metabolic Rate of Glucose,lCMRglu)の測定 NMRにて脳グルコース代謝率を測定するため、^<13>Cで標識したグルコースをトレーサとしてラットに投与し、その脳内代謝産物を、検出感度の低い^<13>C NMRではなく、感度の高い^1H NMRにて検出する方法を開発した。 4.^<31>P NMRによる肝エネルギー代謝の評価 グルコース代謝や酸素代謝と密接に関係しているエネルギー代謝を評価すべく、^<31>P NMRを用いて、主に肝臓での内因性ATPの増減と、それに対する麻酔薬や血圧効果薬等の薬物効果を、ウサギを用いて検討した。 5.その他、本研究に関連して、以下の2つの研究を行った。 (1)MRI 検査時の麻酔管理 臨床で行われるMRI検査時の麻酔管理の方法を、特にモニターを中心にして考察した。 (2)High-speed MRIによる脳梗塞モデルでの薬物効果の判定 ラット中大脳動脈閉塞モデルを作成し、閉塞部分の血流に及ぼす血管拡張薬の影響を検討した。 以上の研究により得られた知見は、脳循環・代謝の研究を発展させていく上で非常に有益であり、3年間の研究成果として十分な物であると確信する。
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