加令による新生血管黄斑症の病態と治療に対する基礎的および臨床的アプローチ

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03404050
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 玉井 信 東北大学, 医学部, 教授 (90004720)
• 研究分担者: 君塚 佳宏 東北大学, 医学部附属病院, 助手 ; 山口 克宏 東北大学, 医学部, 非常勤講師 (20200610) ; 山田 孝彦 東北大学, 医学部, 助手 (40191316) ; 石黒 誠一 東北大学, 医学部, 講師 (20111271)
• キーワード: 加令黄斑症 / 新生血管黄斑症 / 網膜色素上皮移植 / 硝子体手術 / 硝子体サンプリング / 実験的網膜色素上皮障害 / 網膜色素上皮再生 / 病理組織学的検索

研究概要

昨年度は、加令による新生血管黄斑症の病態を実験的に解折するために、家兎眼を用いた網膜色素上皮障害モデルを作製し、また、新たな治療法を探るために、網膜色素上皮障害モデルに対して網膜色素上皮細胞を移植することに成功した。今年度は、これらの研究成果を各種の学会で発表すると共に、さらに多くの実験モデルを作製し、病理組織学的検索を行なった。その結果、網膜色素上皮が障害された場合、周囲の障害されていない網膜色素上皮が再生して来る可能性のあることが判明した。実際の臨床においても、網膜色素上皮の障害部において網膜の視機能が回復していく症例がある。このような症例の発見も、今年度我々の外来で成され、重要な成果のひとつである。もし、何らかの方法で、健丈な網膜色素上皮の再生を促進することが可能になれば、本疾患の病巣の外科的除去後に生じる網膜色素上皮欠損部の視機能を高めることができるので、今後は、網膜色素上皮細胞移植と共に研究を進めて行きたい。網膜色素上皮細胞を移植した眼球の検索では、重要な視物質であるオプシンの発現を認めた。今後は、電気生理学的手法などで機能面からの評価も試みて移植の効果を分折する予定である。
臨床面では、手術による本疾患の治療例が11例と増え、そのうち5例で網膜下病巣の病理組織学的検索を行なった。その結果、本疾患の網膜下病巣の構成成分には共通性があり、また術後の経過より、どのような術式がより安定した成績が得られるかがわかってきた。この成果については、学会で既に発表し、現在論文の作成中である。

研究成果

• [文献書誌] Makoto Tamami,Toshio Kanno,Yoshio Kimizuka,and Takahiro Yamada: "Histological and histochemical analysis of the artificially damaged rabbit retina with trasplated retinal pigment epithelium" Invertigative ophthalmology and Visual science(Suppl.). 34. (1993)
• [文献書誌] Toshio Kanno,Takashi Yamada,ahd Makoto Tamami: "Functional recovery found in the retina of a case with retinal pigment epithelial tear suggests regeneration of the retinal pigment epithelium" Investigative ophthalmology and visual science(Suppl.). 34. (1993)
• [文献書誌] 山田 孝彦,菅野 俊雄,君塚 佳宏,玉井 信: "老人性円板状黄斑変性症の網膜下線維血管病巣についての組織学的検索" 臨床眼科. (1993)
• [文献書誌] 君塚 佳宏,菅野 俊雄,武藤 勉,山田 孝彦,玉井 信: "老人性円板状黄斑変性症において網膜下血腫増埴組織除去を行った症例の網膜色素上皮の動態" 臨床眼科. (1993)
• [文献書誌] 山田 孝彦,菅野 俊雄,玉井 信: "実験的網膜色素上皮障害眼に対する網膜色素上皮細胞移植" 厚生省特定疾患網膜脈絡膜萎縮症調査研究班平成4年度研究報告書. (1993)
• [文献書誌] 後藤 恒男,山田 孝彦,玉井 信: "実験的網膜下血腫による周囲組織の経時変化" 厚生省特定疾患網膜脈絡膜萎縮症調査研究班平成4年度研究報告書. (1993)