研究課題/領域番号 |
03404053
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
青木 春美 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (50150925)
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研究分担者 |
佐藤 睦 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (30225916)
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (30197587)
小川 正明 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (40095097)
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キーワード | 歯 / エナメル質 / エナメロイド / 微量元素 / フッ素 / 鉄 / 系統発生 / 進化 |
研究概要 |
真骨魚類のエナメロイドにおけるフッ素と鉄の濃度を electron microprobe(EPMA)によって定量分析した結果によると、それらの濃度は歯の形態や食性、さらに棲息する環境水などに関係するのではなく、魚の系統進化と深い関連性があることが明らかになった。そこで、フッ素や鉄が形成期のエナメロイドに濃縮することは、系統発生的にどのような意義があるのかを明らかにする目的で、下等真骨魚類に属する5種類の魚(進化の程度の低いものから、(1)Osteoglossiformes、(2)Elopiformes、(3)Anguilliformes、(4)Salmoniformes、(5)Stomiiformes)について EPMA による定量分析を行った。その結果、(1)ではフッ素、鉄ともに低濃度、(2)ではフッ素は中濃度で、鉄は高濃度であった。また、(3)ではフッ素、鉄ともに高濃度、(4)ではフッ素は中濃度で、鉄は高濃度、(5)ではフッ素は中濃度と高濃度で、鉄は高濃度であった。これらの結果と以前の研究結果とから、まず、フッ素と鉄の濃縮のメカニズムは互いに独立していることがわかる。さらに、魚の進化の過程において、鉄の濃縮はフッ素の濃縮より早く始まるが、濃縮能力の消失はフッ素と同時期かそれより遅いことがわかった。 哺乳動物であるラットに、微小管の重合を阻害するビンクリスチンを一回注射して、形成期エナメル質に現われる変化を観察した。その結果、成熟期後期のエナメル芽細胞がエナメル質表面から剥離し、嚢胞様変化が引き起こされることがわかった。他の報告例と比較すると嚢胞様変化の起こる部位は薬物の種類によって異なっていることが明らかになった。このことから薬物に対するエナメル芽細胞の感受性はその構造と機能に密接に関連していると考えられる。
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