研究課題/領域番号 |
03404054
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小椋 秀亮 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (20013831)
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研究分担者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70161049)
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10126211)
松本 章 北海道大学, 歯学部, 教授 (40064365)
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キーワード | 骨吸収 / 低カルシウム食 / 破骨細胞 / 細胞内Ca / プロテインカイネ-スC / 石灰化 |
研究概要 |
本年度は研究の基礎的段階として、実験系の確立を主な目標として検索を行った。 【低カルシウム食飼育ラットを用いた実験】 長管骨における骨吸収に関する研究を展開する目的で、低Ca食飼育ラット脛骨について骨形態計測法を応用した検索を行なった。生後30日齢のWistar系雄性ラットを用い、実験群には低Ca食(0.05%Ca,0.35%P)、対照群には正常Ca食(0.5%Ca,0.35% P)を含む半合成飼料を与え、pair feeding法により飼育した。脛骨近心端部二次海綿骨においては、低Ca食飼育3日目で、対照群にくらべ、すでに56%の骨量減少が認められたが、それ以降20日目まで、骨量減少はほとんど認められなかった。低Ca食飼育6日目まで、破骨細胞数は有意に増加したが、それ以降減少し、対照群とほぼ同一の値を示した。骨芽細胞数は、6日目以降20日目まで、有意に増加し続けた。骨芽細胞の石灰化能力には、対照群との間に差が認められなかった。骨幹部皮質骨においては、二次海綿骨にくらべ、骨量減少は緩やかに進行し、実験後半の時期に、破骨細胞数の増加と、骨量減少が顕著となった。以上の実験結果から、低Ca食飼育ラット脛骨における骨量減少は、実験初期には、おもに海綿骨を中心にして起こり、次第に海綿骨により皮質骨が主に吸収されていくことが明らかとなった。 【in vitroの実験】 骨系細胞を低Ca環境下にて培養し、細胞内Ca、IP_3、prote in kinase C(PKC)などの細胞内情報伝達系の動向を調べたところ、細胞内Ca量、IP_3量は減少し、PKC活性は細胞膜では感受性が昂進しているものの細胞全体としては低下した。また、外部添加Ca、Con.A、PLC等の刺激により、被刺激性が高まっていた。これらの低Ca環境下培養骨細胞における反応は、細胞機能を正常に維持しょうとする細胞の補償機能の作動に由来することが推測された。
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