研究課題/領域番号 |
03404054
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小椋 秀亮 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (20013831)
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研究分担者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70161049)
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10126211)
松本 章 北海道大学, 歯学部, 教授 (40064365)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 骨吸収 / 低カルシウム食 / 破骨細胞 / 細胞内Ca / 石灰化 / オステオポンチン / in situ hybridization |
研究概要 |
低カルシウム(低Ca)食飼育ラットを用い、骨吸収が進行する時の骨組織細胞の骨基質タンパクの遺伝子発現に関してnorthern bolt hybridizationならびにin situ hybridizationによる検索を行った。生後30日齢のWistar系雄性ラットを用い、実験群には低Ca食(0.05% Ca)、対照群には正常Ca食(0.5% Ca)を含む半合成飼料を与えて飼育し、実験開始6日後に屠殺した。Northern bolt hybridizationには脛骨近心部を取り出し、ホモジナイザーにて粉砕後RNAを抽出し定法に従いメンブレンhybridizationを行なった。またin situ hybridizationにはラットを還流固定後、脱灰、パラフィン包理を行い切片を作製し、hybridizationを行なった。遺伝子発現の検索にはコラーゲンあるいはオステオポンチンに特異的なDNA、RNAプローブを用いた。組織学的には海綿骨を中心に骨吸収が起り、多数の破骨細胞の出現が見られた。骨梁周囲には立方形をした骨芽細胞の出現が見られ骨形成活性も活発なようであった。In situ hybridizationでは立方形の形態をした骨芽細胞にコラーゲンおよびオステオポンチンのシグナルが観察され骨形成活性が遺伝子レベルにて高まっている可能性が示された。また破骨細胞にオステオポンチンの遺伝子発現が認められ、骨吸収機構の促進過程にオステオポンチンが重要な役割を果たしていることを示した。Northern bolt hybridizationではコラーゲン、オステオポンチンのメッセージ発現に関して低Ca食群、正常Ca食群に差は認められなかった。これは骨組織からのRNAの抽出が海綿骨、皮質骨の区別なく行われているためであり、骨の種類による遺伝子発現の差を捉えることが出来なかったためであると推察できる。今後は骨組織の形態に特異的な遺伝子メッセージ発現を捉える必要があろう。以上の結果より低Ca食による骨吸収活性の上昇に伴い海綿骨において骨形成活性の上昇が見られることが判明した。これは骨吸収に伴って骨形成が昂進し骨のturn over rateが上昇していることを示すものと考えられた。
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