研究課題/領域番号 |
03404055
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩久 正明 新潟大学, 歯学部, 教授 (70013927)
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研究分担者 |
宇佐美 祐一 新潟大学, 歯学部, 助手 (10193856)
子田 晃一 新潟大学, 歯学部, 助教授 (90018755)
星野 悦郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90124619)
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キーワード | メトロニダゾール / 歯髄保護 / 感染歯髄 / 偏性嫌気性菌 / 抗菌性生体親和性材料 |
研究概要 |
本年度は、交付申請書に記載した事項およびそれらを発展させて次のような研究をおこなった。 1.物性試験 試作された抗菌性直接覆髄剤中の3種薬剤の内、ミノサイクリンが基材であるαTCPの硬化反応を遅延させること、及び長期経過による変色傾向があることから、それにかえて、抗菌性において同様な効果を有するセファクロールを加えた覆髄材を試作し、その硬化反応を調べた。その結果、硬化時間の促進により臨床操作性が改善され、走査型電子顕微鏡による観察の結果、旧覆髄剤に比較して極めて優れた結晶形成が起こることが明かになった。 2.動物実験 猿を用いて人工露髄感染歯髄を作り、試作抗菌性直接覆髄剤による処置を行ったところ、残存歯髄組織の破壊は見られず、正常な治癒傾向をしめした。また、患部には細菌の存在は認められず、本剤が優れた抗菌性を示すことが明かになった。一方、対照としてαTCPのみを用いた場合には、歯髄は完全に破壊されて多数の細菌が見られた。 3.臨床試験 ボランティアの抜去適応の智歯および小臼歯に作られた人工露髄部に新試作抗菌性直接覆髄剤を用いて処置し、臨床経過を観察した症例では、不快事項の発現もなく、また、その後抜歯して行った病理組織学的観察では健全歯髄の破壊もなく、被蓋硬組織が形成され正常に治癒することが明かとなった。 以上の研究結果から、本剤が感染歯髄の保存治療に極めて有効であることが示され、今後はその成功率を高めるために、歯髄の免疫学的検討等の基礎的研究や適応症の検討等の臨床的研究が継続される予定である。
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