研究概要 |
本研究は,4年間の継続研究の最終年度として次の様な内容の検討を行った。 1.試作抗菌性生体親和性覆髄剤の改良 従来の組成に対して,一層抗菌性を高め,しかも,その物性を向上させる新組成についての臨床的有効性を検討した.その結果,シプロフロキサシン,メトロニダゾール,セファクロルの3種混合薬剤を,操作性を改良したニューアパタイトライナー(α-TCP)に加えたものが非常に有効であることが明らかになった。 2.露髄部への被蓋硬組織形成に関する動物実験による病理組織学的研究 サルを用いて,従来から広く用いられている水酸化カルシウムにα-TCPを加えて,被蓋硬組織形成のメカニズムについて検討した。 また,サルの歯髄を人工的に露髄させ,口腔に開放させて感染歯髄を作り,試作覆髄剤にて処置を行い,その抗菌性と生体親和性を調べた。その結果,患部の細菌は完全に死滅し,しかも,従来の水酸化カルシウムと違って残存健全歯髄に傷害を与えることなく,歯髄は治癒し,被蓋硬組織形成が行われることが明らかになった。 3.Metronidazolの抗菌メカニズムについての研究 嫌気性菌に特異的に抗菌作用を示すmetoronidazolについて細菌のメタボリズムに対する影響を調べ,その抗菌メカニズムを明らかにした。 4.臨床的研究 歯髄炎を有するボランティアの患者に応用を試み,その臨床経過観察を続け,若年者では全部性化膿性歯髄炎以外では大部分の症例で良好な結果が得られることが明らかとなった。 現在は,本研究を継続中である。
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