研究課題/領域番号 |
03404056
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
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研究分担者 |
楠本 豊 大阪大学, 歯学部, 助手 (40252689)
島袋 善夫 大阪大学, 歯学部, 助手 (50231361)
村上 伸也 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70239490)
島内 英俊 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70187425)
三木 靖夫 大阪大学, 歯学部, 助教授 (80165993)
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キーワード | 歯周疾患 / T細胞 / 自己リンパ球混合培養反応 / CD45R / 細胞接着分子 / 歯肉線維芽細胞 / CD44 / VLA-4 |
研究概要 |
CD4陽性T細胞中のCD45R isoformの発現状況を解析した結果、自己リンパ球混合培養反応(AMLR)低応答性歯周病患者群において末梢血中CD3陽性T細胞中のCD4陽性CD45RA陽性T細胞の比率が有意に減少していることが確認された。この患者群においては、CD4陽性CD45RO陽性T細胞が相補的に増加しているわけではなかった。炎症歯周組織ではCD4陽性CD45RO陽性T細胞の比率が有意に増加していることが確認され、活性化状態にあるヘルパーT細胞が炎症歯肉に集積していることが強く示唆された。次にこのようなT細胞の炎症歯周組織への定着・集積の分子機構を解明するために、活性化歯肉線維芽細胞(HGF)への付着の分子機構を解析した。HGFはIL-1β,TNFα,TNFα,IFNγなどにて活性化されることにより活性化T細胞に対する接着能を増強し、その際にはLFA-1/ICAM-1接着経路が主要な役割を果たすことを明らかにし、また、上記細胞間接着におけるCD44(ヒアルロン酸レセプター)/ヒアルロン酸(HA)を介した接着経路の関与を解明するために、HAに対する接着を阻害し得る抗-CD44単クローン抗体(OS/6とOS/37)を新たに樹立し、これら抗体を用いてCD44/HA接着経路が活性化T細胞とHGFの接着に関与することを明らかにした。これら細胞接着分子の発現パターンをflow cytometryにより解析すると末梢血T細胞と炎症歯周組織中のT細胞との間で特徴的な差異は認められなかった。さらに、歯周病原性細菌の1つと考えられるPorphyromonas gingivalis(P.g)の線毛に対する歯周病患者T細胞の反応性を検討した結果、P.g線毛抗原に対する特異血中抗体価の上昇が認められた患者の末梢血中にはP.g線毛抗原特異的T細胞が高頻度で存在することが明らかとなり、これら抗原特異的T細胞が歯周病局所において歯周病原性細菌に対する免疫応答を修飾していることが示唆された。
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