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1992 年度 実績報告書

血流に起因する血管内皮細胞反応と血管系構築機序に関する生体工学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 03404062
研究機関東京大学

研究代表者

神谷 暸  東京大学, 医学部(医), 教授 (50014072)

研究分担者 安藤 譲二  東京大学, 医学部(医), 客員助教授 (20159528)
柴田 政廣  東京大学, 医学部(医), 助手 (60158954)
キーワード血管内皮細胞 / ずり応力 / 細胞内カルシウム / 接着分子 / 摩擦力 / 機械受容体 / 内皮由来平滑筋弛緩因子
研究概要

当該年度には(1)内皮の産生する生理活性物質の分泌に対する流れの効果、(2)内皮細胞の有する接着分子の発現に及ぼす流れの効果、(3)流れ以外の物理的刺激に対する内皮細胞の認識機構に関しての実験を行った。新たに得られた知見としては(1)に関して流れは細胞外ATPの存在下でその流速に比例した細胞内Ca^<++>上昇反応を内皮細胞に引き起こすがこの細胞内Ca^<++>濃度変化が内皮の平滑筋弛緩因子(EDRF)の放出を制御している事を示す結果が得られた。また培養内皮細胞に流れを負荷すると流速に比例した細胞内cGMPの上昇が認められ、この反応は一酸化窒素の特異的阻害薬であるL-NMAにより消失した。したがってcGMPの上昇は流れにより生じたNOの作用と考えられた。このことは内皮が血流の変化を感知し、EDRF(NO)の放出を介して血管のトーヌスの調節を行っている機構の存在が示唆している。(2)の実験に関してはリンパ球との接着に関与する内皮の接着分子であるVCAM-1,CD44の蛍光抗体法を流れの負荷前後に行い、内皮細胞表面の分布状況の変化を解析した。流れの負荷された内皮細胞は静的対照群に比しVCAM-1の発現が著明に抑制されることが分かった。一方、CD44には変化がみられなかった。このことはリンパ球と内皮細胞の接着現象に血流が修飾作用を及ぼす可能性を示唆している。(3)では流れ刺激ではなくゴム製バルーンによる摩擦力負荷を培養内皮細胞に作用させたところ、瞬時に細胞内Ca^<++>濃度の上昇反応が観察された。この反応の大きさは加える摩擦力の強さに依存し、可逆性であった。このことから血管内皮細胞には摩擦力の様な物理力を感知するセンサーが存在する可能性が示された。以上が本年度の研究実績の概要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] J.Ando: "Wall shear stress rather than shear rate regulates cytoplasmic Ca^<++> responses to flow in vascular endothelial cells." Biochem.Biophys.Res.Commun.

  • [文献書誌] R.Korenaga: "Close correlation between cytoplasmic Ca^<++> levels and release of an endothelium-derived relaxing factor from cultured endothelial cells" Cardiovasc.Res.

  • [文献書誌] J.Ando: "Intracellular calcium response to directly applied mechanical shearing force in cultured vascular endothelial cells" Biorheology.

  • [文献書誌] J.Ando: "Ettect of extracellular ATP level on flow-induced Ca^<++> responses in cultured vascular endothelial cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.179. 1192-1199 (1991)

  • [文献書誌] O.Ono: "Flow effects on cultured vascular endothelial and smooth muscle cell functions" Cell Struct.Funct.16. 365-374 (1991)

  • [文献書誌] J.Ando: "Culture of human adult endothelial cells in liquid-liquid interfaces:A niw approach to the study of cell matrix interactions" In Vitro Cell Dev.&Biol.27A. 525-532 (1991)

  • [文献書誌] Inoue et al.eds.: "The regulation of coronary blood flow" Springer-Verlag Tokyo, 12 (1991)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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