研究課題/領域番号 |
03404072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 正幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40114706)
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研究分担者 |
渡辺 嘉典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20212326)
飯野 雄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (40192471)
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キーワード | 分裂酵母 / 有性生殖 / 接合 / 減数分裂 / 接合フェロモン / フェロモン受容体 / 情報伝達 |
研究概要 |
分裂酵母は炭素源や窒素源の状態を感知・判別し、新たな細胞分裂周期を開始するか、接合・減数分裂への性的分化を開始するか、を決定する。接合の際には、接合フェロモンを受容することで相手型細胞の存在を認識する。このような性的分化開始の決定に至る一連の分子機構を解明することにより、細胞の環境認識、細胞周期の制御、あるいは細胞機能分化などの細胞生物学の基本問題の理解に寄与をもたらすのが本研究の目的である。 我々はすでに、分裂酵母の有性生殖開始に必要な遺伝子群が窒素源飢餓により転写誘導されること、その際にcAMPが栄養状態を反映し、情報伝達を仲介すること、また接合フェロモン受容に応じて転写誘導される遺伝子があることを明らかにした。本年度は接合フェロモン受容に関わる情報伝達経路について2つの重要な進展があった。分裂酵母の接合に際して、h^+型細胞はP-ファクター、h^-型細胞はM-ファクターと呼ばれる接合フェロモンを分泌し、相手型細胞とコミュニケーションを図る。成果の1つは、接合フェロモンM-ファクターの受容体遺伝子を単離・解析してこの受容体が7回膜貫通性型のものであることを示し、さらに、M-ファクター・P-ファクターいずれの受容シグナルも細胞内では同一経路で伝達され、そのシグナルが接合のみならず減数分裂開始にも必須なものであることを明らかにしたことである。もう1つはP-ファクターの遺伝子を同定し、P-ファクターを精製してそのアミノ酸配列を明らかにしたことである。P-ファクターは23アミノ酸からなる単純ペプチドであった。P-ファクターの構造を突き止めた結果、化学合成によってその十分量が実験に使えるようになった。この利点を活かして、接合フェロモンに細胞周期を止める力があることを初めて証明した。
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