研究概要 |
1.単一の細胞レベルでのエンドサイトーシス過程を測定するための時間分解共焦点蛍光顕微鏡装置の試作:共焦点蛍光顕微鏡(LSM10)にパルスレーザー光を導き入れるための取り入れ口と、試料からの蛍光をシンクロスキャンストリークカメラのカメラベッドに導くための取り出し口を設置し、我々が先に開発した時間分解顕微蛍光装置を共焦点レーザー顕微鏡に組み込んだシステムを組み立てた。この装置によりx,y軸のみならずz軸(深さ)方向においても1μm程度の空間分解能をももって、細胞内でのエンドサイトーシスの動的過程を研究できる可能性が開けた。 2.自動細胞分取装置(セルソーター)と蛍光性リガンドを用いたエンドサイトーシス過程の非破壊的測定方法の確立:蛍光性リガンドを用い、エンドゾームからライソゾームへの移動過程で蛍光スペクトルが変化することを利用して、セルソータによるエンドゾーム・リソソーム輸送過程を、細胞を破壊することなく定量的に解析する方法を確立した。この方法を用いて、低密度リポタンパク質のエンドゾームからライソゾームへの輸送には、細胞内のタンパク質のリン酸化が関与されていることをはじめて明らかにした。 3.エンドサイトーシス過程に変異を持つ変異株細胞の分取:変異誘発剤で処理したチャイニーズハムスター卵母細胞に蛍光性LDLを取り込ませ、上記の2の方法により、エンドゾームからライソゾームの輸送過程に変異をもつ細胞を分取し、株化した。そして共焦点蛍光顕微鏡、細胞分画法を用いて変異部位を特定した結果、エンドサイトーシス経路と、トランスゴルジネットワークからライソゾームのsorting経路とが重なる点において変異が生じていることが示唆された。
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