平成3年度の研究に続き、非生物的尿処理システムにおいて、尿素と陽イオンの分離に不可欠である陽イオン荷電膜(陰イオン交換膜)の製作を行った。新たな膜作製法を開発し、製作手順の簡便化、膜強度の向上に成功した。 本システムの尿素処理機能の応用として腹膜透析(CAPD)における透析液の再生利用を想定し、システムの設計や評価を容易にするためCAPDのシミュレーションモデルを作製した。システムの各構成要素の仕様を設定するなどし、CAPDでの問題点である腹膜炎、高脂血症、限外濾過率の低下の防止するために荷電膜による尿素処理と同時にグルコースの持続的注入を行う透析液潅流システムを作製し、その実現可能性について検討した。 作製した荷電膜を用いて、CAPDにおける尿素処理のin vitro及びex vivo実験を行った。この透析液潅流システムにおいて効率的に尿素を処理し、体内の水分を除去することができ、さらに体内吸収グルコース量も押さえられることが示唆された。 生物的尿処理システムについて検討するため、自然界における窒素代謝および水の循環について調査した結果、特定の微生物群が窒素代謝に大きく関与していることが明らかとなった。 宇宙における尿処理に関して宇宙開発事業団における研究状況ならびに、日本の現行の下水処理システムに関して調査を行った。
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