研究概要 |
1.俳句の学習と検索:575という特別の音韻構造を持つ俳句を学習した後,575の要素のいずれかを,(1)プライム(検索手がかり),(2)タ-ゲットとして連続提示し,両者が同じ俳句の要素であるかどうかを判断するという実験で,知識構造を調べている。タ-ゲットの命名時間を測度にする実験も計画中である。 2.アクセントの位置の異なる同音異義語を用いて,時間の経過に伴い語の音韻特性がプライミング効果に影響するかを調べたが,結果は否定的であった。この結果は,日本心理学会に発表予定である。 3.幼児に絵本を見せて、お話を自由に作らせる観察研究をおこなった。子どものお話作りや伝達方法の特徴を調べて,説明や説得のロジックを研究している。 4.授業観察を通じて、生徒の探究活動を追跡し,知識獲得と疑問,好奇心との関係を分析している。 5.動機づけ論的研究として、大学生の持つ学習観を調査した。大別すると、特定の結果の達成やそれに伴う承認を目標にして強制感を持ちながら学習する収束的学習観と、学習内容を個人的な知識や体験と照らし合わせて様々な観点から吟味するとともに,さらに発展的に情報を求めようとする拡散的学習観が見られた。後者は、自己決定感の強い望ましい学習観である。さらに,遂行志向型,課題志向型、過程志向型といった類型も見られた。 6.小学校1,2,3年に対して,いろいろな型の加減算の文章題を出して、成績のちがいを検討した。解決に必要な情報のみを含む完全情報問題と,解決に不必要な情報を加えた過剰情報問題とを出題し,その効果を比較した。この結果は日本教育心理学会に報告する。
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