研究課題/領域番号 |
03451018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白石 純三 大阪大学, 健康体育部, 教授 (80028456)
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研究分担者 |
日野林 俊彦 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (80156611)
奥田 純一郎 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (30093389)
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キーワード | 意欲減退学生 / ステューデント・アパシー / UPI(University Personality Inventory) / 精神生理学 / ポリグラフ / エゴグラム |
研究概要 |
1.意欲減退行動の背景に関する心理学的側面:前年度に引続いて新規に来談した症例を加え、また検討項目に一部の症例でエゴグラムを追加した。UPIでは、意欲減退学生61名につき、健常対照群(16,868名)と比較した。意欲減退群では、明るさや活動性を示すライスケール項目の平均得点が低いのに比し、自覚症状項目の得点が有意に高値で、内容的には、気力・知的能力・身体機能の減退感や抑うつ傾向、自己不確実感や不安、離人症様症状、感情の不安定などに及んだが、陽性回答率の差の最も大きかったのは「他人に相手にされない」、「つきあいが嫌いである」を最上位とする対人関係の困難を示す8項目について認められた。エゴグラムでは心的エネルギーの水準が低く、平均エゴグラムパターンはAC(Adapted Child)の優勢な依存者タイプを示した。これらの結果をもとに、意欲減退学生の精神構造と行動上の機制を力動的観点から考察した。2.精神生理学的検討:脳波、眼球運動、顔面筋電図などから成るポリグラフを、新規症例を含め13例に施行し、指示暗算、自己暗算および閃光刺激負荷前後の各種指標を対照群(16名)と比較した。暗算負荷に際して、閉瞼状態における低振幅急速眼球運動(r)の出現頻度は、意欲減退群では健常群に比し増加率が大であったが、精神作業負荷後の減少(回復)率が少ない傾向が認められた。しかし一部の症例では安静時のrの出現回数が少なく、負荷に対する反応の極めて小さい者も存在した。顔面筋電図では、シュウ眉筋筋電図の平均振幅は、指示暗算、さらに自己暗算負荷に伴って増加し、ほぼ健常群と同様の変化のパターンを示したが、安静時及び各種負荷時を通じて、振幅の水準は健常群に比べてかなり低値であった。頤筋においても、安静時および暗算負荷時の振幅の水準が意欲減退群では低く、負荷終了後に減少を示し難い傾向がみられた。これらの結果より、意欲減退群では心的緊張の水準の低下及び精神作業負荷による反応性緊張からの回復に問題があることが示唆された。
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