我々は、ポスト・フォ-ディズム段階の下で、地域生活協同組合が、こうした段階にどう対応し、住民生活と地域社会にいかなるインパクトを与えているかを解明するため研究を進めている。 本年度の研究実施計画を踏まえて、我々は(1)研究会を通じて既存の生活協同組合関係文献をサ-ヴェイし、調査研究の方向づけを明確にするとともに、(2)大都市(名古屋勤労市民生協)と地方都市(福島県南生協白河市)における地域生協の実態調査に着手し、(3)大都市生協アンケ-ト調査の集計作業を行なうことによって、研究の発展に努めてきた。 その結果、大都市生協と地方都市の生協の間には、その共通性とともに、組織・事業・運動のいずれにもかなり異なる特徴が見出せた。共通性は理念としての〈協同〉原理、助け合いの精神であり、担い手としての主婦、運営の基礎組織としての班の存在であり、事業の中心としての食料品の供給である。組織形態上の相違点は、大都市生協では、全員何らかの班に所属し、11の地区が運営の主体になっているのに対して、地方都市では、班組織率は2割に過ぎない。このような組織形態の違いは、事業展開方法の違いに基づいており、前者が共同購入型の生協として出発し、その後店舗展開して行ったのに対して、後者は全国で二つしかない家庭係制度(御用聞き)行なっていることによる。後者はまた長年の店舗展開の歴史を有していて、品そろえも進んでいる。運動については、前者は組合員の自主的活動と割り切り、文化活動や福祉活動についても事業化できるか否かが運動のポイントとなっている。後者は、組織部を有し、その活動の一部として運動を行なっている。 第2年度は、以上の知見を踏まえて、さらに実態調査を継続するとともに、ポスト・フォ-ディズム段階の下での地域生活協同組合の展開様式のあり様を、明確にするべく研究計画を推進することにしている。
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