研究課題/領域番号 |
03451025
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
橋本 和孝 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90198672)
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研究分担者 |
大久保 武 東京農業大学, 農学部, 専任講師 (80233071)
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キーワード | 生活協同組合論 / レギュラシオン理論 / ポスト・フォーディズム段階 / 産直活動 / 有機農業 / 社会運動論 / 地域社会学 |
研究概要 |
我々は、ポスト・フォーディズム段階の下で、地域生活協同組合が、こうした段階にどう対応し、住民生活と地域社会にいかなるインパクトを与えているかを解明するため研究を進めてきた。 本年度の研究実施計画を踏まえて、我々は(1)大都市生協(名古屋勤労市民生協)の補足調査を行ない、(2)地方都市生協(福島県南生協)の実態調査を実施するとともに、(3)同アンケート調査結果の整理集計を行なった。さらに(4)両地域の生協と産直活動を実施している農業生産者の実態調査を実施するとともに、(5)研究会を通じて大都市生協のアンケート結果の集計分析を実施し、(6)同分析結果について研究発表を行なった。 (6)の分析結果からは、以下のような知見を得た。(1)名勤生協名東区の組合員は、ホワイトカラー世帯が多く、全国的に見ると収入の多い階層であった。(2)日常生活での「余暇志向」が顕著で、資源浪費型日本経済に、疑問を持っている者が多く、現在の生活様式に反省を促す生協らしい組合員が多かった。(3)日常的に食料品への安全性への配慮を行なっており、有機農産物を利用したり購入を希望している者も目立つ。しかし実際の購買行動では、生協で食料品を購入する割合は、5割以内の者が目立っていた。(4)総じて、生協は安全とよりよい商品を求め、班を友愛的な人間関係の場にしたいとする精神的な〈生活世界〉を形成していると言えることがわかった。 今後は、以上の知見を踏まえて、地方都市における地域生協の分析、および農業生産者の産地直結事業に関する実態調査の分析を行なうとともに、ポスト・フォーディズム段階についてさらに研究を深化させ、社会変動下の地域生協の到達点を明らかにして行く予定である。
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