研究課題/領域番号 |
03451025
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
橋本 和孝 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90198672)
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研究分担者 |
大久保 武 東京農業大学, 農学部, 専任講師 (80233071)
荒樋 豊 農村生活総合研究センター, 研究員
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 生活協同組合論 / レギュラシオン論理 / ポスト・フォーディズム段階 / 産直活動 / 有機農業 / 社会運動論 / 地域社会学 |
研究概要 |
我々は、ポスト・フォーディズム段階の下で、地域生活協同組合が、こうした段階にどう対応し、住民生活と地域社会にいかなるインパクトを与えているかを解明するため研究を進めてきた。 「平成4年度科学研究費補助金研究経過報告書」に記したように、「研究成果報告書」を取りまとめることが出来ない理由は、地方都市における地域生協の分析、および農業生産者の産地直結事業に関する実態調査の分析が残されていたこと、さらにはポスト・フォーディズム段階についての理論的検討が必要なためであった。 そこでその後これらの課題について検討し、社会変動下の地域生協の到達点を明らかにすることが出来たといえよう。例えば、ポスト・フォーディズム段階については、アフタ-・フォーディズムとも呼ばれており、1つの方向としては生協運動そのものがその担い手としての可能性を有していること、もう1つの方向としては<フレキシビリディ>=柔軟体制化が想定されているということがわかった。この後者の意味で大都市生協である、名勤生協では地区別生協という分権化論が提起されているものの、まだそれは明示的ではない。他方地方都市生協では、班制度が未定着で<生活世界>=コミュニティを形成しえていず、アフタ-・フォーディズムないしポスト・フォーディズムの実質的担い手としては、課題を残していることがわかった。 今後さらに詳細な検討を行う予定だが、大都市生協と地方都市生協の共通性と違いの一端について述べると、次のような特徴が挙げられた。大都市生協の組合員の平均年齢は、38.8歳でホワイトカラー世帯に属する収入の高い層が目立っていたが、地方都市生協では平均年齢が45.2歳と高く、収入も全国平均よりも低い層が目立っていた。しかしながら、地域の団体に参加している者はそれぞれ57%台で共通性を見せ、資源浪費型の日本経済に疑問を持っている組合員が多いことでも共通性を示していた。しかしながら、前者の場合には生協は、班を友愛的な人間関係の場にしたいとする精神的な<生活世界>を形成しているということができたが、後者では御用聞き制度という現代的でユニークな制度を採用している反面、前述のように<生活世界>を形成しえていない状況であったのである。
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