研究課題/領域番号 |
03451034
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
山下 淳志郎 明星大学, 人文学部, 教授 (20062268)
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研究分担者 |
堤 史朗 明星大学, 人文学部, 教授 (40062319)
中田 重厚 明星大学, 人文学部, 教授 (60062296)
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キーワード | 近代製糸業 / 共同体的規制 / 商品経済 / 金融資本 / 産業資本 / 殖植興業 / 製糸同盟 / 労働管理制度 |
研究概要 |
岡谷地方に展開した近代製糸業の成立、展開を可能ならしめた歴史的・立地的背景を探ることから始めた本年度の研究から、その展開を可能ならしめた契機は以下の諸点にまとめられる。 1.製糸業が当初発展をとげた今井地区(岡谷北部)においては、地主制による共同体的規制が厳しかったがゆえに製糸業発達が不十分に終り、地方、「川筋地区」(岡谷南部の旧平野、川岸などの地区)では、幕末期以降に展開した商品経済が(1)共同体的規制を弱化せしめ、これに加えて、(2)工場立地条件、(3)交通・運輸、(4)動力源としての諏訪湖、天竜川の水の質と量に恵まれていたこと、(5)周辺後背地における繭の原料地、労働力供給地の存在が製糸業の簇生を促した。 2.こうした(1)〜(5)の諸条件が揃っていた地域に殖産興業をめざす国策(第十九国立銀行の融資など)が積極的に関与したこと。 1.2の条件により発展した岡谷製糸業は産業資本としての性格を強め、周辺後背地にのみ依存することが出来ず、労働力、原料の繭においては地府県に地域的に拡大するようになった。一方、地域内においては、製糸業は、結社から同盟への組織替えにより地域内統制を構造的に展開させ、それと結びつけた形での女工登録制度、寄宿舎制度等労務管理制度を導入した。これは弱化した地主・小作関係の方容として打立てられたものである。
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