研究概要 |
平成3年度には、小学校低学年期の学習障害児約20名に対して、介入アプロ-チに基づく第1期の治療的指導(この時,購入した備品を活用した)を1年間にわたり展開することができた。その過程で、次に述べるような知見を得ることができた。 1.学習障害児のための指導計画を策定するに際しては,次に示す3つの原則をバランスよく踏まえることが大切であるー(1)伸展的な指導,(2)補正的な指導,(3)治療的な指導。 2.学習障害児の個人内発達を促すための指導を展開するに際しては,次に列挙する学習活動の内から適切なものを精選することが大切であるー(1)集中と運動,(2)運動遊び,(3)構成遊び,(4)ごっこ遊び,(5)認知遊び,(6)造形遊び,(7)言葉遊び,(8)文字と数の初期学習,(9)主要教科の基礎的学習。 3.学習障害児の有能感や自己決定感を助長し,内発的動機づけを行うためには,次に示す教育的手立てを講ずることが重要である。このように,有能さを感じながら自らこうしようああしようとする積極的な心情・意欲・態度を芽生えさせることが,学習障害児が周囲の人的環境と相互交渉を深めていくためには,是非とも必要なのであるー(1)協同体的な意識の共有,(2)自発性の援助,(3)自律性の援助,(4)有能性の援助。 4.以後,平成4年度には,第2期の治療的指導を引き続き展開するとともに,小学校低学年期の学習障害児に対する介入アプロ-チの有効性を解明する。
|