1.学習障害の定義の特定 アメリカ合衆国における学習障害の諸定義を比較・検討することで、現時点で妥当だと考えられる概念上の定義について考察した。その上で、学習障害の診断基準とも言うべき1つの操作上の定義を発案することができた。この操作上の定義は、6つの箇条(「2.学習障害の鑑別診断手続きの開発」の(1)〜(6)を参照のこと)から構成されている。 2.学習障害の鑑別診断手続きの開発 対象児がこれら6つの箇条で表現される諸状態のすべてを保有しているかどうかの検討を一連の過程((1)基礎教科的な学習問題の把握→(2)個人内能力の差異の確認→(3)除外条項に関する検討→(4)情報処理過程の障害の確認→(5)中枢神経系の機能障害の確認→(6)生涯をとおしての存在の予断)をとおして加えていく、学習障害の鑑別診断手続きを開発することができた。 3.学習障害児に対する介入アプローチの有効性の解明 人間化という視点から指導・評価を展開することで、対象児の個人内発達を促すためには、次に示す遊びや初期学習の内から適切なものを必要十分な選択して、その子どもの情報処理過程全体が有機的に機能するように働きかけることの大切さだけを解明することができた。(1)運動遊び、(2)構成遊び、(3)ごっこ遊び、(4)認知遊び、(5)造形遊び、(6)ことば遊び、(7)事象認識の初期学習、(8)読み書きの初期学習、(9)計算の初期学習。 また、その際、対象児の内発的動機づけを高めるには、次に示す援助手立ての内から適切なものを必要十分なだけ選択して、その子どもが周囲の人的環境と相互交渉を深めるように働きかけることの大切さを解明することができた。(1)交流感の援助、(2)自己決定感の援助、(3)有能感の援助。
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