研究概要 |
3ケ年計画の初年度にあたる本年度は、学卒採用に企業が直接・関接にかけている経費を把握することを目標にして、既存資料の収集・検討を行ない、更にそれに基づいて質問紙調査を実施した。 (株)矢野保清研究所が1991年に2,000社を対象にして行なった調査によれば、有効回答247社が新卒の採用にかける費用は平均で57.1万円、資本金30億円以上の企業が57.7万円、30億円以下の企業が72.2万円であった。また東京都労働経済局が1990年に都内3,000社を対象に行なった調査では(有効回答789社)、新卒採用にかかる費用は製造小規模18万円、中規模111万円、大規模2,410万円、サ-ビス業小規模25万円、中規模75万円、大規模835万円であった。採用経費に関する調査はもともと少ないうえに、その調査のなかでも結果はこのように大きく違っている。さらに、既存の調査では大卒者の採用経費に限定されているので、学種間あるいは学種内の比較はできない。 本研究の目的は、自由応募方式と学校推薦方式の利害得失の比較にあるから、採用経費の学種別比較は不可欠である。そこで本研究は独自に「学卒採用に関する調査」を実施した。質問項目は学種別内定者数、学種別応募経路、学種別定着率、採用経費、リクル-タ-制度などを中心に構成した。調査対象は回収率を考慮し、当初の多段無作為抽出方式をあきらめ、日本経済新聞社刊『就職する人のための素顔の1,700社』に掲載された1,683社とした。郵送方式で3月末を〆切とした13日現在で570社から回答を得ている。回収率は33.9%で予想外に高いが、最終的には35%を超える予想である。 次年度(4年度)は3年度の結果を分析するとともに、学生の側の選択機会の観点から自由応募方式と推薦方式の利害得失を比較するために、学生調査を実施する予定である。
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