研究課題/領域番号 |
03451062
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蓮實 重彦 東京大学, 教養学部, 教授 (30012454)
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研究分担者 |
中地 義和 東京大学, 文学部, 助教授 (50188942)
工藤 庸子 東京大学, 教養学部, 教授 (30139638)
保苅 瑞穂 東京大学, 教養学部, 教授 (70011294)
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キーワード | フローベール / 草稿研究 / 生成論 / 『ボヴァリー夫人』 / 『感情教育』 / 『ブヴァールとペキュシェ』 / 『聖アントワーヌの誘惑』 / 『三つの物語』 |
研究概要 |
平成3年度の成果を引きつぎ、平成4年度には以下のような研究実績をあげることができた。 (1)『ボヴァリー夫人』ーー草稿表面、裏面すべての内容をリスト・アップした一覧表を希望者に公開し、資料センターとしての機能を果たす。(Le Classement tabutaire des Scinarios et des Brouillonsとして研究報告書p10〜p111に収録) (2)『感情教育』ーー草稿の文献批判学的分析の基礎的技術を学ぶため、ウェザリル編、ガルニエ版のAppendice Iを批判的に検討。その欠陥を指摘するとともに、今後草稿研究にとり組む研究者のための参考資料として小論文にまとめた。(報告書p147以下) (3)『ブヴァールとペキュシェ』ーーすでに分類整理をおえた草稿の個別的踏査にとり組んだ。現在は分析が行なわれているNotes de eectureは、作品の生成論的考察のなかで、とりわけ重要な位置を占めるものである。マイクロフィルムの状態が劣悪であるため、解読はきわめて困難だが、着実な成果があげられている。(その一部を、報告書p112〜p133に収録) (4)『三つの物語』『聖アントワーヌの誘惑』ーー草稿コピーの分類整理および全体にページを打つ作業を終了した。 以上のごとく、フローベール草稿の資料センターとしての物理的条件はほぼ所期の目標通りみたすことができた。本研究に参加した研究代表者分担者はもとより、補助員として資料の調査にあたった大学院学生もまた、直接草稿のコピーに当たることにより、作家のエクリチュールに対する理解を深めたであろうことは言を侯たない。今後もフローベール研究センターとして多大の成果をあげることが期待される次第である。
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