研究課題
本研究の目的は、脱冷戦の状況下で沖縄の米軍基地は今後も存続するのか、あるいは一部返還がなされるのか、これらの方向を探り、基地と地域との連関性、非連関性に関する展望を探ることである。(1)国際環境の変化と基地の態様の変化の間の連関性を、相互の影響力の内容・形成・展開過程を検証した。(2)軍事基地の経済コストを国際経済の枠組みの中で検討した。(3)米軍基地が日米関係の上に存在していることから、基地をめぐる日米両政府の認識の変化、あるいはそれらの認識ギャップを検討した。(4)基地のあり方をめぐって日米両政府に対して沖縄住民の支持あるいは要求はどのようなメカニズムで政策レベルに達するのかを、沖縄側の動きとその効果を中心に検証した。(5)沖縄経済に対する基地の経済インパクトを分析し、基地の地域経済的位置づけを検討した。本研究計画のメンバ-で研究会活動を開始し始めたころ、6月にフィリピンのピナツボ火山の噴火、7月に米比基地協定の調印、そのなかフィリピンのクラ-ク米空軍基地の閉鎖が決まった。9月の米比基地協定がフィリピン上院にて批准されることなく、協定の期限を迎えた。以上の軍事基地をめぐる米比関係の変化は、沖縄の米軍基地に大きな影響を与えており、1992年までの米軍削減計画の変更をもたらすのではないかと、研究メンバ-の多くは考えている。したがって、今後の東アジア情勢を継続して慎重に見守る必要がある。この間、研究分担者の一人である保坂廣志が戦後沖縄関係の資料収集で米国を訪問した。現在、それらの整理中である。また、我部政明は閉鎖および強化されつつある米国内の米軍基地の現地調査を行った。この調査報告の準備中である。
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