今年度は、研究の第一ステップとして中小.・ベンチャ-企業へのアンケ-ト調査をおこなった。回収率は約19.4%、回収企業総数は354社であった。送付先企業は、関西圏から京都と兵庫、関東圏から神奈川、中部圏から静岡、そして地方圏から富山の6府県を選定した。 回答項目総数119という質問の多さにもかかわらず、各府県から20%前後の回答を得たことは、ベンチャ-・新規企業の経営・資金問題への関心の高さを示していると思われる。 当面は、デ-タの整合性やエラ-のチェックを重点的に進めているところである。回答の結果を概観したところでは、企業の開設段階において、資金問題の重要性は金融の自由化の今日においても、いささかも減じていないと思われる。 この点は、国際的な問題とも密接に関連している。欧米各国では、現代の重要な経済問題のひとつとして、企業の活力、そして、社会の活力をいかにして高めていくかが大きな問題となっているにである。そのための手段として、新しい技術、新しい市場、新しい経営組織を持った若い企業をいかにして生み出していくかを研究しているのである。この問題は、また地方の活性化の問題ともつながっていることが意識されている。 このような観点から、我々は都市圏と地方圏の二つの地域を選んだのである。例えば、京都の問題がある。その長期的解決には、企業の変化が必要なのである。調査デ-タの分析からこの問題にも答えてみるつもりである。 なお、調査を進める一方で、ベンチャ-企業に関連する資料やデ-タの収集も行った。そして、それらを用いた関連論文を執筆した。次年度はこれらの蓄積を踏まえて、オリジナル・デ-タの分析に本格的に着手する予定である。
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