研究概要 |
1.大規模稲作複合経営農家調査:新モデル構築のための参考資料収集を目的として大規模稲作複合経営農家調査が実施された。調査地は青森県内の5ヶ所(十和田市,七戸町,弘前市,鰺ヶ沢町,青森市)であり、調査対象農家は「水稲+肉用牛」,「水稲+果樹」,「水稲+施設野菜」型複合経営農家である。調査の結果、農業経営活動によって獲得・蓄積された「無形資産(情報的資源)」(市場・経営管理・生産技術に関する情報やノウハウ,その獲得ル-ト等)の作目部門間での有効利用が範囲の経済実現の重要な要素となっていることが明かになった。 2.複数財x費用関数モデルの開発:他の条件を一定とすれば、無形資産の違いは経済効率性に反映される。経済効率性と規模・範囲の経済性とを統一的に分析するために、経済効率性を様々な無形資産の代理変数として考え、それを固定要素変数として含んだ「複数財x費用関数モデル」が開発された。理論的検討の結果、このモデルでは経済効率性が最適水準に調整・改善された場合の事前的規模・範囲の経済性の分析が可能であることが明かになった。 3.食品関連上場企業に関するデ-タ整備:食品工業における範囲の経済性について計量分析を行うために、大蔵省「有価証券報告書総覧」中、東証第一・二部上場食品関連企業について投入資本推計等の基本デ-タ加工作業が行われた。 4.総合農協における3財以上モデルの開発:総合農協における範囲の経済性を分析するため、3財以上モデルの開発が行われた。理論的実証的検討の結果、3財以上モデルを用いた経済の検証には費用の補完性アプロ-チが有効であることが明かになった。
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