研究課題/領域番号 |
03451088
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
樋口 貞三 筑波大学, 農林学系, 教授 (50003752)
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研究分担者 |
本間 哲志 筑波大学, 農林学系, 助手 (60241775)
川村 保 岩手大学, 農学部, 講師 (20177736)
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キーワード | 農業生産資材産業 / 産業組織論 / 構造変化ー産業組織解析マトリックス / 水田型大規模複合経営 / 規模・範囲の経済性 / 無形資産 / 経済効率性 / 複数財x費用関数モデル |
研究概要 |
(1)農業生産資材産業における規模・範囲の経済性の産業組織論的検討:従来の農業部門と相互関連の強い農業生産資材産業の規模・範囲の経済性を日本経済の構造変化及び農業構造変化と関連付けながら分析するために、これら構造変化が同産業諸特性に及ぼす影響とその把握方法について産業組織論的視点から検討を行った。その結果、同産業の産業組織論的諸特性を構造変化要因の関数と考え、この関数を構成要素とする「構造変化ー産業組織解析マトリックス」を作成する方法が有効であることが明らかになった。 (2)水田型大規模複合経営における規模・範囲の経済性と経済効率性:前年度の調査においてその重要性が認識された「水稲十施設野菜」型複合経営等における「無形資産(情報的資源)」の役割を実証化するため、前年度に考察された「複数財x費用関数モデル」による計量経済分析を行った。分析の結果、様々な無形資産の代理変数である経済効率性の改善は事後的規模・範囲の経済性を増大させること、そして事前的範囲の経済の要因分解ではその最も大きな割合(39%)が経済効率性に関する範囲の経済によって説明されることが明らかになった。 (3)水田型大規模複合経営農家調査:前年度の調査において良好な経済成果と顕著な経営発展の軌跡から注目された「水稲十肉牛」型大規模複合経営について、その規模・範囲の経済性に関する実態的情報を拡充するために、岩手県内の同複合経営農家を対象に水田型大規模複合経営農家調査を行った。調査の結果、作目のわずかな変化も見逃さないすぐれた観察力が重要な無形資産となっており、その形成が範囲の経済実現のための課題の一つであることが明らかになった。この結果は上記のモデルが同複合経営についても有効であることを示している。
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