研究概要 |
身体障害者施設、訓練所を対象に、それぞれの施設が社会復帰の目的のもとに体力トレ-ニングをどのように行っているかの調査を行った。74施設中62施設がなんらかの体力トレ-ニングをおこなっていた。トレ-ニングを実施していない施設は重度障害者を中心とする施設であった。体力トレ-ニングの内容は、自力歩行の出来る者に対しては移動能力、関節運動を重視した体操、ストレッチ、軽スポ-ツが行われていた。車椅子常用者の場合は、ストレッチ運動、車椅子操作に必要な上肢の腕力、腕持久力のトレ-ニングが中核となっていた。 社会複帰(就職)に成功し、2年以上順調に職場生活を送っている障害者の体力水準を明らかにため、43名を対象に体力測定を行った。測定項目は、握力、脚筋力、持久力、柔軟性、平衡性、敏捷性、移動能力の各項目である。対象群の水準は健常者のー1、5SD〜3,0SDの間にあった。持久力は平成3年度に購入した心拍メモリ-装置を用いて心拍数の面から評価した。一定運動強度に対する心拍水準は、障害者は有意に高く(20〜30%)、通常の作業でも健常者よりかなり作業負担がかかっていることが明らかとなった。また、自力歩行が可能な群の中には、最大移動速度テストにおいて最大心拍数が180拍/分に達しない者が17名中9名みられた。これらの者には呼吸循環器系よりは運動器系側へのトレ-ニングが必要であると考えられる。 自力歩行群に対してはペドメ-タ-による活動水準調査を行った。測定値は180〜2600カウントの間にった。ペドメ-タ-値と体力測定値の間には有意の相関関係が認められ、体力水準は障害者の職業的自立に大きく関わっていることが示唆された。
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