研究概要 |
概説的に成果を述べれば,次の通りである。 1)企業の海外進出状況からみると,わが国を中心とした国際的都市システムは,生産拠点,輸入・販売拠点(自動車など)により,進出形態が異なる。 2)商社の輸出入に深く関与する総合商社は,首都に支店・駐在員事務所を配置している例が多い。 3)都市間結合のネットワークの太さ,機能が把握される。 4)海外拠点を管理する組織形態には縦組織制と横組織制があり,管理は縦,運営は横が基本となっている。 5)組織ネットワーク形態では,本社直轄型と,副次的地域総括型とがある。 6)海運業の場合,主要港湾に駐在員事務所をおくが,リベリアに現地法人が多い。 7)資本提携のみの現地法人,その他,形態,系列などは多様であり,全体的傾向を抽出するよりは,典型例を都市間結合として示す方が,有効ではないかと考えられる。 8)調査対象として抽出して企業は,わが国でも最上位に位置する巨大企業で,海外にも多数の系列企業を配置している。しかし,その実態は,資本系列でのみつながり,現地法人として独立しているもの,その他多様であって、実態の把握は困難な点が多かった。 9)また時節柄,企業が社内の実態の説明を拒否したため,有効な調査および資料作成が困難な場合もあった。 10)国家的都市システムの頂点に立つことの多い首都間に,国際的都市システムを示唆する事例をみることができる。
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