研究概要 |
本研究の目的は子どもの発明工夫を促進するために有効な,発明クラブでの指導方法を明らかにすることである.発明クラブ指導者を対象に予備調査を実施して,「発想指導に関わる指導」,「考案設計,製作の計画,材料に関わる指導」,「製作,改良時に関わる指導」,「事後反省,発展,その他に関わる指導」についての70項目からなる質問項目を作成した.本調査では,それぞれの項目につき,全国40箇所,112人の発明クラブ指導者に,有効性の認知(どれくらい有効な指導方法だと思うか)と実践度(実際にどれくらい行なっているか)を7段階で評価してもらった.得られたデータを因子分析し,有効性の認知から5因子,実践度から4因子を抽出した.因子得点を全国発明工夫展の受賞群と非受賞群とで比較した.また,受賞群と非受賞群とに分けて,有効性の認知と実践度の関係を重回帰分析により検討した.その結果,受賞群では指導の実践度の要因と有効性の要因の間に強い相互な関係が見られた.ただし,受賞群では,日常的な観察の習慣をつけさせるような間接的な指導はせず,発明工夫の過程に沿った直接的な指導を実践している傾向が見られた.間接的な指導の中には,教育上重要な項目も多く含まれるので,「工作活動を通じた創造性の育成」という観点から見た場合,必ずしも受賞の有無だけを基準にすることは妥当でないようにも思われる.今後,他の基準を用いた発明工夫クラブの教育的効果を検討する必要がある.
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