教育養成学部の学生のいくつかの教育実習の段階を経ることによって、どのような能力が形成されていくか、学生の自己評価を通して明らかにする。 本研究の目的は、我々の所属する大学で行われている「教育実地研究」が、学年進行と共に目的の異なった実習を段階的に実施していることから設定された。 研究の方法としては、長期普通教育実習を終了したおよそ200名の学生の自己評価から、さらに、理科コース学生の実習中の授業ビデオから自己点検させることによって理科固有の教育実践能力形成状況を追跡調査した。 その結果、次のような知見を得た。 1 段階的・継続的・教育実地研究の実施上の問題点と今後の対策について指摘した。 2 段階的に行われる実習について学生は自分なりに異なってとらえている。 3 実習中において苦労することが多かったという経験から、教育実践能力の必要性を認識してくる。教材研究に対する力量不足を指摘する学生が多い。 4 教育実習生の失敗授業からの授業評価は実習生には容易であり、その評価観点は次の授業改善に役立てることが出来る。 5 実習生の授業評価観点は、児童との対話、授業進行、実験指導などの技術的・表面的なものである。教材観や授業観や児童観といった価値的教科観は出来ていない。 6 実習経験後において学生は授業研究に対する事後指導を期待している。
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